YouTubeの爆発的な流行に比例して、動画を使ったマーケティング・プロモーション活動を行う企業が増加しています。
YouTubeは世界最大の動画配信プラットフォームですが、どんな企業に対しても万能であるわけではありません。
動画の利用目的やターゲットユーザーの属性によっては、YouTube以外のプラットフォームをしようした方がいいケースもあるのです。
そこでこの記事では、高品質な動画が数多く集まるサービス『Vimeo』とYoutubeを比較しつつ、それぞれの特徴や使い分け方を徹底的に解説していきます。
- 動画マーケティングを成功させたい企業
- Webマーケティングに伸び悩んでいる人
上記のような人や企業は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. YouTube・Vimeoの概要
YouTubeとVimeoは、それぞれ異なる歴史・背景を抱えているため、それぞれが目指しているものも違います。
そこで、まずはYouTubeとVideoの概要について、簡単に見ていきましょう。
1-1. YouTubeの概要
YouTubeは、カリフォルニアに本社を置く動画配信プラットフォーム。2005年にサービスが開始され、2006年にはGoogleによって買収されました。
YouTubeの特徴は、何と言ってもその知名度とユーザー数。
公式のデータによると、YouTubeの動画は毎日10億時間以上再生されており、コンテンツのアップロード量は毎分500時間に上るとのこと。
無料で気軽に視聴できたり、素人でも簡単に動画をアップロードできたりする点が、ユーザー数の増加を後押ししたと考えられます。
他のプラットフォームを寄せ付けない圧倒的なユーザー数を抱えるYouTubeは、デジタルマーケティングとの相性が非常に良いと言えるでしょう。
1-2. Vimeoの概要
Vimeoは、ジェイコブロドウィック氏によって2004年に創設された動画プラットフォーム。「Video」と「me」を掛け合わせた造語になっています。
日本での知名度はあまり高くありませんが、実は世界最大のYouTubeよりも1年早くリリースされています。
Vimeoが、YouTubeの圧倒的なパワーに駆逐されることなく生き残っているのは、YouTubeとの徹底した差別化にヒントがあります。
Vimeoの特徴は動画のクオリティの高さ。アーティストやプロのクリエイターによる動画をメインコンテンツとしている点は、誰でも気軽に動画をアップロードできるYouTubeとは一線を画しています。
2. YouTubeの強み・弱み
「動画と言えばYouTube」と考える人は多いはずですが、ここで改めてYouTubeのメリットとデメリットを見ていきましょう。
たしかにYouTubeが便利なツールであることは間違いないのですが、その知名度の高さが裏目に出てしまうこともあります。
そのため、YouTubeの特徴を客観的に把握して、自社の事業にYouTubeがフィットするのかを改めて考えるのが大切です。
2-1. YouTubeの強み
YouTubeの強みは、主に以下の通り。
- 圧倒的なユーザー数
- 広告収益を生み出せる
- SEOに強い
- 基本的な機能が無料
順番に見ていきましょう。
1. 圧倒的なユーザー数
YouTubeの最大の強みは、他を寄せ付けない圧倒的なユーザー数。
2019年時点の、YouTubeとVimeoのユーザー数は、以下のようになっています。
- YouTube……およそ10億人
- Vimeo…およそ1億7000万人
両者のユーザー数の差は一目瞭然ですね。
ユーザー数が多いことで、コンテンツのリーチ数を比較的容易に伸ばせるというメリットがあります。同じコンテンツでも、VimeoよりYouTubeの方が、単純計算でおよそ9倍のユーザーをターゲットにできるのです。
2. 広告収益を生み出せる
YouTubeの動画には広告がつけられます。広告機能を利用すれば、クリエイターは広告収益を得られます。
近年はWeb広告費用の高騰が続いており、YouTubeのクリエイターの中には、年間に数億円もの広告収益を生み出している人も。
もちろん、それほどの収益を生むためには、かなりの数のチャンネル登録者数と再生回数が必要になりますが、多くの人にとって夢のある話ではないでしょうか。
このような特徴により、YouTuberは新しい仕事の形としてかなり注目を集めています。『好きなことで、生きていく。』というフレーズを聞いたことのある人も多いでしょう。
3. SEOに強い
SEOに強いのも、YouTubeの魅力の1つ。
なぜなら、YouTubeは世界最大の検索エンジン『Google』の傘下にあるからです。
Googleからの検索結果にYouTubeのコンテンツが表示されることも多いですよね。GoogleとYouTubeは連動されているため、検索から流入したユーザーを捕まえるのに向いています。
4. 基本的な機能が無料
YouTubeの基本機能は無料。『YouTube Premium』という有料プランもありますが、無料でも十分にサービスを楽しむことができます。
無料で利用できる点も、YouTubeがこれだけのユーザー数を集めている原因の1つでしょう。
2-2. YouTubeの弱み
全世界から人気を集めるYouTubeですが、実は弱点もあります。
- 競合が多い(特にエンタメ系)
- 公開範囲の設定の効果が弱い
- 広告によりユーザー体験が損なわれる
それぞれ解説していきます。
1. 競合が多い(特にエンタメ系)
動画の人気を伸ばすにあたって、競合の多さが大きなネックになります。特に現在、エンタメ系の動画には芸能人やプロのクリエイターが多く参入しているため、完全にレッドオーシャンと化しています。
企業のプロモーションやマーケティングも競合が多いため、効果を上げるにはかなりの工夫が必要。
試しに、YouTubeで企業の採用動画を検索してみてください。星の数ほど採用動画が存在する中で、ユーザーに自社のコンテンツを選んでもらうのは容易ではありません。
2. 公開範囲の設定の効果が弱い
YouTubeでは、動画の公開範囲を設定できるのですが、その強固さはあまり期待できないといえます。
というのも、公開範囲を一部に設定しても、URLからなら誰でもその動画にアクセスできてしまうのです。URLはSNSによって簡単に拡散できるため、セキュリティ面での安全性はあまり高くないのが現状です。
3. 広告によりユーザー体験が損なわれる
広告をつけられるのはクリエイターにとってメリットですが、ユーザーにとってはデメリットでしかありません。
新しい動画を再生するたびに広告、一本の動画を見るだけでも数分おきに広告……ユーザーからすると、ストレスにしかなりませんよね。
そのストレスが企業の印象に結びついてしまったら、マーケティングにとってはマイナスです。
3. Vimeoの強み・弱み
「Vimeoってユーザー数も多くないし、普通にYouTubeを使えばよくない?」と思っている人も多いでしょう。
しかし、Videoの強みと相性の良い企業・事業もあるため、一概にYouTubeを選べば問題なしとはいえないのです。
3-1. Vimeoの強み
Vimeoの強みは以下の4点。
- 高クオリティな動画が多い
- 動画のセキュリティが高い
- 広告がつかない
- オフラインでも再生できる
1. 高クオリティな動画が多い
Vimeoには、クオリティの高い動画が多く集まっています。
なぜなら、Vimeoはアップロード可能なコンテンツを厳しく検閲しているから。
Vimeoにアップできるのは完全オリジナルなコンテンツのみで、ゲーム実況や商用目的の動画は禁止。映像コンテンツを『作品』として位置付け、低クオリティな動画を徹底的に排除しています。
誰でも手軽に動画を投稿できるのがYouTubeの魅力ですが、低品質な動画や誹謗中傷を目的としたコンテンツも多いデメリットもあります。
企業の中には、ブランドイメージや世界観を重視しているところもあるはず。そのような企業は、手間をかけて制作した動画をVimeoにアップロードするのがオススメです。
2. 動画のセキュリティが高い
Vimeoは、動画の公開範囲をかなり柔軟に設定できます。
たとえば、会員限定の動画を配信したり、特定のドメイン内でしか再生できないように設定したりができます。
社内の研修用動画やシステムマニュアルなど、一般のユーザーの目には触れさせたくない動画もありますよね。そのような動画を扱いたい場合は、Vimeoを利用するのがオススメです。
3. 広告がつかない
Vimeoの動画には広告がつきません。これは、Vimeoが高品質な動画によるユーザー体験を重視しているからです。
広告が付かないのはユーザーにとって嬉しいポイントですが、クリエイターにとっても「動画を純粋に楽しんでもらえる」というメリットになります。
4. オフラインでも再生できる
Vimeoには動画のダウンロード機能が付いているため、オフラインの環境でもコンテンツを楽しめます。
YouTubeも有料プランであればダウンロード機能を利用できますが、無料でも十分便利なYouTubeにわざわざ課金をする人は決して多くはありません。
3-2. Vimeoの弱み
高品質な動画を楽しめるVimeoですが、以下のようなデメリットも存在します。
- ユーザー数が少ない
- しっかりと運用するなら有料プランに加入
順番に見ていきましょう。
1. ユーザー数が少ない
前述した通り、Vimeoのユーザー数は決して多いとはいえません。
特に日本での知名度はまだまだ低く、大量のユーザーに拡散される『バズ』を起こすのは難しいと言えるでしょう。
話題性を集めたり、多くのユーザーへリーチしたりすることを目指すのであれば、VimeoよりもYouTubeを利用するのが正攻法だといえます。
2. しっかりと運用するなら有料プランに加入
ビジネスとしてVimeoを運用していくのであれば、有料プランに加入する必要があるでしょう。
そのため、プロモーションに予算を割けない企業にとっては、Vimeoの利用はハードルがやや高めかもしれません。
4. YouTubeとVimeoはターゲットによって使い分ける
それぞれの特徴を前提に、YouTubeとVimeoの適切な使い分け方を考えてみましょう。
もちろん、どちらか一方を選ばなければいけないわけではありません。時には両方を運用した方がいい場合もあるでしょう。
4-1. 認知度向上・集客ならYouTube
多くのユーザーに企業のことを認知してもらいたいのであれば、YouTubeを利用するのがオススメ。
YouTubeのユーザーの多さと拡散性の高さは、企業の認知度向上に非常に役立ちます。競合の多さはネックですが、差別化とクオリティの高さにこだわれば十分に成果は出せます。
もし本気で結果を出したいのであれば、プロのマーケターや動画編集者に外注するのがオススメ。動画は資産性が高く、長期間に渡って効果を維持できるという強みがあるため、初期の段階でコストをかけるのは正しい戦略だといえます。
4-2. 顧客・ファンの育成ならVimeo
一方、顕在顧客や企業のファンを育成する目的であれば、Vimeoを選んだ方が良いでしょう。
自社のサービス・製品に高い関心がある、もしくは使用済みであるユーザーをターゲットにするなら、拡散性や認知度の向上よりも動画の内容や品質の高さにこだわるのが効果的でしょう。
特に、自社に優秀なビデオクリエイターがいるなら、Vimeoの利用はとてもオススメです。
5. まとめ
ここまで、YouTubeとVimeoの特徴を、マーケティングの観点から比較してきました。
動画マーケティング業界は、これからもどんどん伸びていくことが予測されます。この波に乗り遅れないために、なるべく早い段階で動画配信をスタートすることが重要です。
少しでも動画の活用に興味がある企業は、この記事を参考に、ぜひ動画マーケティングの導入を検討してみてください。