スマートフォンは、私たちの生活に欠かせない存在にまで成長しました。小さな機械一台で世界中の人々と繋がれたり、知りたい情報に瞬時にアクセスできたりするのはとても便利ですよね。
一方で、スマホゲームやSNSに依存してしまい、生活に支障をきたしてしまう人が増えています。このようなスマホへの依存は、一般的に「スマホ依存症」と呼ばれます。
スマホは人生を豊かにできるツールですが、逆に「スマホに人生の主導権を奪われている」人が増えているのが現状。自分らしい人生を歩むためには、スマホとの上手な付き合い方を身につける必要があります。
この記事では、スマホ依存症についての基礎知識や、依存の改善方法を徹底解説していきます。特に、依存症への対策方法はかなり具体的に説明しているので、スマホとの付き合い方に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
1. スマホ依存とは
スマホ依存症とは、「目的もないのに四六時中スマホを触り続けており、生活に支障をきたしている」状態のこと。スマホを使いこなすのではなく、逆にスマホに使われてしまっている、と言えばわかりやすいかもしれません。
たとえば、以下のような状態に心当たりはありませんか?
- 食事中や人と話している時もスマホをいじってしまう
- トイレにもスマホを持ち込んでいる
- 1分でも時間ができたらスマホを触る
- スマホがないと外出できない
- スマホがないことに不安を感じる
- 四六時中スマホの通知が気になる
多くの人が「自分のことだ」とドキッとしたのではないでしょうか。
他にもスマホ依存の特徴はありますが、全てに共通する特徴は「スキマ時間は絶対にスマホをいじる」「他のことをしているときでもスマホが気になってしまう」というものです。
まさに、スマホに人生を乗っ取られている状態だと言えますね。
2. スマホ依存がもたらす悪影響
「スマホばかりいじるのは時間がもったいない」と感じる人は多いでしょう。しかし、スマホ依存がもたらす悪影響はそんな甘いものではありません。
大げさでなく、スマホ依存は、人生を根本から破壊するほどの影響力を持っています。
スマホ依存のデメリットは膨大ですが、ここでは代表的な弊害を3つに絞って解説します。
2-1. 健康への悪影響
スマホ依存は、健康状態へ大きな悪影響を与えます。
スマホの利用時間が長い人ほど、睡眠習慣に問題を抱えている傾向があります。スマホから発されるブルーライトは人間の脳を覚醒させ、睡眠の質を大幅に低下させます。
加えて、睡眠の質の低さが自己肯定感や自信の低下に繋がっていることから、スマホ依存は精神的な健康も害していることがわかります。
また、姿勢が悪くなることも懸念される点。
スマホを長時間、覗き込むような姿勢で閲覧し続けることで、背筋が丸まってストレートネックになってしまう危険性があります。また、過度な肩こりにも繋がります。
2-2. 集中力への悪影響
スマホは、人々の集中力を著しく低下させます。
多くの人は、目的もなくダラダラとスマホを見て、日々どうでもいい情報を脳内に大量に入力しています。その結果、脳内に「ゴミ情報」が大量に蓄積され、目の前のことに対する集中力が低下してしまうのです。
みなさんも、「本を読んでいたが、気づいたら別のことを考えていた」という経験があるのではないでしょうか?スマホ依存になると、このようなことが頻繁に発生します。
2-3. 学力への悪影響
スマホには、動画やSNSなど、何も考えることなく受け身で楽しめるコンテンツがたくさんありますよね。
このようなコンテンツに触れ続けると、思考の習慣と能力が大幅に低下し、学力へ悪影響を及ぼします。
変化の激しい現代において、「自分の頭で考え、自分なりの答えを出す」能力は必要不可欠。「インターネットはどんな答えも教えてくれる」という考えは間違っています。
たとえば、「死刑制度は善か悪か?」という問題の回答は、インターネットに載っているでしょうか?「あなたにとっての幸せとはなんですか?」という質問の答えは、検索して出てくるものでしょうか?
自分が最大限輝ける人生を送るためには、自分の頭でしっかりと考える能力を磨かなくてはなりません。
3. なぜスマホ依存になるのか
そもそも、なぜ人間はスマホに依存してしまうのでしょうか。
色々な理由が考えられますが、多くの人に共通するものは以下の2つです。
- 心の隙間をスマホで埋めている
- 脳がスマホの刺激に慣れてしまう
3-1. 心の隙間をスマホで埋めている
一つ目は、心の隙間をスマホによって埋めているということです。
人間は、日々さまざまな不安やストレスと戦っています。特に学生は心の不安が大きい時期を過ごしているため、心は常に忙しい状態になっているはず。
そんな、現実の不安をそらすため、スマホに依存してしまう人が多いとのこと。しかし、スマホを使っても現実の問題が解決するわけではありません。
まずは、自分がスマホに逃げてしまっているという事実を自覚するが大切です。
3-2. 脳がスマホの刺激に慣れてしまう
脳が、スマホの強烈な刺激に慣れてしまうことも、依存症の原因だと考えられています。
電車を待つ5分間を、スマホをいじらずに過ごしている人はどれくらいいるでしょうか?少なくともこの記事を読んでいるあなたは、スキマ時間にスマホを取り出さずにいられない人なはずです。
これは、スマホの刺激に脳が慣れてしまっているせいで、何もしない(もしくは他のことをする)という低刺激な時間に耐えられなくなっていることが原因です。
毎日添加物だらけの食事をしていると、素朴な味を感じ取れなくなってしまうのに似ています。弱い刺激が物足りなくなってしまうと、脳はより強い刺激を求めるようになります。
4. スマホ依存を解消するための対策
それではいよいよ、スマホ依存を解消するための対策方法を解説していきます。
どの対策も科学的エビデンスがあり、すぐに実践できるものばかりです。ぜひ参考にしてみてください。
また、スマホ依存解消のコツは「日常を少しずつ変化させていく」ことです。急にスマホをいじる時間をゼロにするのは不可能に近いです。まずは1時間減らすことを目指し、達成できたらさらに1時間減らす、くらいの気持ちで取り組みましょう。
4-1. スマホの使用時間をトラッキングする
節約を始める時、まずは家計簿をつけますよね。自分が毎日どれくらいお金を使っているかを把握して、ムダな出費が発生しているポイントを特定します。
家計簿と同じで、スマホ依存対策も「スマホの使用時間の把握」からスタートします。
スマホはなんとなくいじるものなので、使用時間を正確に把握している人はほとんどいないはず。また、使用時間は、自分のスマホ依存度の指標にもなります。
スマホ使用をトラッキングするアプリはたくさんリリースされているので、自分に合うものを選んで使ってみてください。
記録するだけで効果あり
ダイエットの手法に「レコーディングダイエット」というものがあります。レコーディングダイエットはその名の通り、毎日の体重を記録していくだけ。これだけでダイエット効果があるというので驚きです。
体重の記録を取ることで、日々の成長に達成感を感じることができます。逆に体重が増えていると罪悪感が芽生え、「次の日は今日より絶対増えないようにするぞ!」と気が引き締まります。
スマホの使用時間をトラッキングするのも、これと同じ。毎日記録を取ることで、「今日は昨日より30分短くするぞ!」という取り組みやすい目標設定ができます。
また、1ヶ月前の自分と比較し、その成長を肌で感じ取ることも可能。
おすすめは、カレンダーに毎日スマホの使用時間を書き込むことです。冷蔵庫や机の前など、目につきやすい場所に貼っておきましょう。
4-2. 「20秒ルール」で手間を生み出す
「20秒ルール」は、ハーバード大学のショーン・エイカー氏によって考案された習慣化のテクニック。
エイカー氏によると、人間は始めるまでに20秒以上かかる物事を面倒だと感じてしまうという特徴を持っているとのこと。
要するに、やめたいことは手間がかかるようにし、習慣化したいことは手軽に始められるようにしておくのが効果的だということです。
これを利用し、スマホをいじり始めるまで20秒以上が必要になるように工夫してみましょう。
- 自室に行く前に、リビングにスマホを置いておく
- 移動の時は電源を切り、カバンの底にしまっておく
ポイントは、手間を20秒増やしたら、さらに20秒伸ばせないかを考えることです。スマホをいじるのがバカバカしくなるくらいに手間を増やしていきましょう。
4-3. 別のものに集中する
シロクマ効果という言葉に聞き覚えはないでしょうか?
簡単に言えば、シロクマ効果とは「考えないようにすればするほど考えてしまう」というもの。
「俺はスマホを絶対いじらない。絶対いじらない」と考えても、結局スマホのことを考えてしまっているので、欲求がさらに大きくなってしまうのです。
これを防ぐためには、スマホ以外の何かに集中力を向けることが必要です。
生まれた時間で何をするのかを決めておく
スマホをいじる時間を1時間短縮すると、1時間の余白が生まれます。
そこで、生まれた時間で何をするのかを事前に決めておきましょう。
というのも、やることがないと、結局スマホをいじりたくなってしまうからです。
おすすめは読書をすること。電車の待ち時間や移動時間など、ちょっとした時間も本は読めます。活字が苦手な人はマンガでもいいでしょう。
4-4. スマホをいじるトリガーを把握する
習慣的な行動は連動して起こります。
たとえば、起床直後に顔を洗う習慣のある人は、「朝起きる」という条件に連動して「洗顔」という行動が引き出されているのです。要は、特定の条件が引き金になって習慣的動作が発生いるというわけです。
スマホ習慣も同じです。「布団に入ったらとりあえずスマホ」「電車に乗ったらスマホを取り出す」という人は多いですが、この習慣は「布団の中」「電車の中」という条件とセットになっていますね。
そこで、「スマホをいじりやすい状況になったらまずやること」を決めておきましょう。
たとえば、「布団に入ったら5分だけ読書」「電車に乗ったら、次の駅までは読書」と決めておくなど。最初はしんどいはずですが、徐々にその動作は習慣化されていきます。習慣化すれば、布団、もしくは電車に入った瞬間に本を無意識で取り出せるようになります。
ポイントは、最初の動作にのみフォーカスすること。「電車に乗って一駅目まで読書」なのであり、一駅目以降はスマホをいじっても構いません。習慣は少しずつ作っていきましょう。
4-5. スマホの使い方を変えてみる
スマホの利用全てが悪いわけではありません。
- 1日8時間、スマホゲームをしている
- 1日8時間、スマホで映像教材を閲覧している
一つ目は「スマホに人生の主導権を奪われている」例ですが、2つ目の例は「スマホを使いこなしている」状態ですよね。
要は、依存症の対策には、スマホの利用時間を減らす以外にも、スマホの使い方を見直すというアプローチ方法もあるというわけです。
また、先ほどの「スマホをいじるトリガー」を考慮し、「スマホをいじりたくなったら、まずは電子書籍を5ページ読む」というようなルールを作ってもいいですね。
4-6. マインドフルネス瞑想をしてみる
最後の方法は、マインドフルネス瞑想を導入してみることです。
「瞑想って、なんかスピリチュアルな感じがするな…」と思った人もいるかもしれませんが、宗教的な要素とは全く関係ありません。マインドフルネス瞑想は今この瞬間の自分に集中し、自己コントロール感を取り戻すための恰好のトレーニングです。
マインドフルネス瞑想のメリットは、主に以下のようなものがあります。
ストレス・不安の軽減
集中力・注意力の向上
クリエイティビティの向上
精神安定
衝動的な行動を抑えられる
マインドフルネス瞑想の具体的なやり方については、以下の記事でわかりやすく解説されています。
ストレス軽減、心を整える。マインドフルネス瞑想の効果とやり方
まずは1日1分からでも構いません。重要なことなので繰り返しますが、ポイントは「少しずつ確実に習慣を作っていくこと」です。
5. 場合によっては治療が必要なことも
スマホ依存は、場合によっては通院による治療が必要になることもあります。
この記事で紹介したテクニックはどれも効果バツグンなものばかりですが、あまりにも依存度が高い場合は、病院に足を運ぶことを検討してみてください。
6. まとめ
ここまで、スマホ依存症についての基礎知識や対策について解説してきました。
幸福度を決める要因として、「自己コントロール感の有無」が挙げられます。自己コントロール感とは、自分自身で自分の人生をコントールしている感覚のことです。
ぜひこの記事を参考にして、人生の主導権をスマホから奪い返してください。あなたが自分らしく生きられることを願っています。