VRオフィスという新しい働き方が注目を集めており、数々のメリットに筆者も大きな魅力を感じています。しっかりと理解して導入すれば、ビジネスの効率アップや問題解消に役立てられるでしょう。この記事では、VRオフィスがどういうものか説明し、メリットやデメリット、使用した感想なども紹介していきます。
1. そもそもVRオフィスとは?
まずは、VRとオフィスがどのようなコンセプトで結びつくのか理解することが大切です。そのうえで基本的な機能を把握すると、VRオフィスをイメージできるようになります。以下にそれらを紹介するので、前提知識として押さえておきましょう。
1-1. VRとオフィスの融合
VRとは「Virtual Reality」の略であり、日本語では仮想現実と表現されるものです。
ゲームをはじめとした娯楽の分野から普及が始まりましたが、ビジネスシーンでも徐々に使われるようになってきました。
たとえば、アパレル業界では、来店しなくてもオンラインで試着を体験できるサービスがあります。
不動産業界なら、物件の内部を再現した仮想空間で内覧を行えるシステムが有名です。
いずれも現場を訪れる必要がないことが特徴で、VRオフィスも基本的なコンセプトは共通しています。
つまり、実際に出勤しなくても働けるオフィスであり、従業員は自宅など別の場所にいても、バーチャル空間でオフィスワークの大半を行えるようになるのです。
1-2. 基本的な機能
具体的な機能はサービスによって異なりますが、基本となるのは自分の分身であるアバターを作る機能と、それを用いてコミュニケーションをとる機能です。
従業員はバーチャル空間のオフィスにアバターを登場させることで、他の従業員のアバターに対してアクションを起こせるようになります。
会話やジェスチャーなど複数のコミュニケーションの手段が用意されており、仕事の打ち合わせや休憩中の雑談を本当の職場にいるような感覚で行えるのです。
ホワイトボードのようなアイテムを使えるサービスも多く、作成した資料をバーチャルのモニターに映し出せるなど、視覚を利用して理解を促すための工夫がなされています。
2. VRオフィスのメリット
VRオフィスがどのようなものか分かっても、導入する価値があるのか判断できない場合もあります。以下に紹介するメリットを理解して、自分のビジネスに与える影響を予測してみましょう。
2-1. 仕事場としてリアリティがある
会わなくてもコミュニケーションをとれるので、時間と交通費を節約できるようになります。
そう言われると、テレビ会議で十分だと思う人もいるでしょう。
テレビ会議はあくまでも電話の延長上にあるもので、通話に映像を加えた手段という位置づけです。
VRオフィスは単なる連絡の手段ではなく、仕事を行う環境として機能することが大きなメリットとなっています。
バーチャル空間におけるアバターを使ったやり取りにはリアリティがあり、仲間との距離を感じることなく、雰囲気やスピード感を共有しながら作業を進めていけるのです。
2-2. 生産性の向上やビジネスチャンスの拡大につながる
コミュニケーションの柔軟性が高いこともメリットの一つです。
打ち合わせをするなら1箇所に集まれば良いですし、個人的に話したいときは相手のアバターと空いているスペースに移動すれば良いのです。
また、このようなメリットがあるため、物理的な共同作業が発生するケース以外は会う必要性がなくなります。
遠隔地に住む人とも一緒に働きやすくなるので、海外も含めて広い範囲から優秀な人材を雇えるようになるでしょう。
たとえば、アメリカとドイツ、日本にいる従業員が同じバーチャル空間で働くことも可能です。
多様な組み合わせによって高い相乗効果や新たな発見を期待できるので、生産性の向上やビジネスチャンスの拡大につながります。
3. VRオフィスのデメリット
スムーズにVRオフィスを導入したいなら、デメリットを把握しておくことも欠かせません。どのような困りごとが起こり得るのか事前に知ったうえで対策を考えておきましょう。
3-1. ITスキルやインターネット環境が必須となる
導入や運用には、ITスキルやインターネット環境を用いることになります。
どちらも一般的なレベルで構いませんが、昔ながらのアナログ的な手法で仕事をしている従業員は難しいと感じるかもしれません。
一部の従業員が参加できなれば、十分な効果を発揮できなくなり、実際に会う回数を多くするなどの処置が求められます。
そのような事態を回避するには、導入するにあたり従業員にしっかりとレクチャーしておくことが重要です。
3-2. 利用者の意見に対するフォローを欠かせない
VRオフィスにリアリティがあるのは確かですが、あくまでもバーチャル空間でのやり取りに過ぎません。
そのため、顔を見たことがない相手と仕事を続けるケースもあり、それが不安という従業員がいる可能性もあります。
また、部下の心理や成長具合を把握しにくいという上司などもいるでしょう。
VRオフィスを効果的に機能させていくには、そのような意見にも耳を傾けてフォローを検討しなければなりません。
たとえば、期初と期末などのタイミングで、実際に会って面談を実施するなど、運用上のルールを設けていくのも一つの手です。
4. 実情を知っておこう!世間の評判は?
実際のところ、VRオフィスはどういう人に需要があるのでしょうか。世間の声とともにチェックして実情を把握しておきましょう。
4-1. どのような人におすすめ?
VRオフィスが特に適しているのは、できるだけ経費をカットしたい人です。
オフィスの賃料はビジネスを行ううえで、最も大きな固定費となるのが一般的です。
VRオフィスを使えば、現実のオフィスは狭くても構わないので賃料を抑えられます。
アメリカには、VRオフィスの導入により、実際のオフィスを持たなくなった企業もあるのです。
また、研修やセミナーを行う予定が多い人にも向いています。どれだけ参加者が多くても現実の会場は必要ありません。バーチャル空間で実施するなら、費用だけでなく準備の手間も省略が可能です。
4-2. 世間の声はどうなっている?
ログインが出社を意味するので、出社の準備や通勤の時間をカットして、プライベートの用事に回せることを喜んでいる人が多いです。
たとえば、育児や介護を行いやすくなったというケースも見受けられます。
一方、「バーチャル空間であることをあまり意識しない」という声も少なくありません。
本当のオフィスと同じレイアウトにしたり、チーム単位で近くに座ったりすることで、違和感を減らせることが大きな理由です。
また、VRオフィスに対して不便を感じることがないという人もいます。
ホワイトボードを用いた討論やパソコン画面の共有など、現実のオフィスで行う多くのことを再現できるからです。
5. VRオフィスのサービスはどれがおすすめ?
ここまで読んでも、まだ導入するかどうか判断できない場合もあるでしょう。参考になるように、VRオフィスを使った感想を述べ、利用しやすいサービスについても紹介します。
5-1. 使用した感想
テレワークの経験があったので、「VRオフィスもあまり変わらないだろう」というのが使用前の予想です。
しかし、実際に試してみると、まったく別物だったのでとても驚きました。
近くに他人のアバターがいることで、まるで現実のオフィスのような緊張感が生じていたのです。
それが良い影響をもたらし、気を抜かずに仕事に集中できそうだと思いました。
また、複数の企業やフリーランスなどが連携する際にも、VRオフィスはとても有効だと感じています。
たとえば、離れた場所にいる者同士が共同で事業を立ち上げるなら、便利な拠点として活用できるでしょう。
5-2. 利用しやすいサービスは?
VRオフィスのサービスのなかで利用しやすいのは、アメリカのImmersed社が提供している「Immersed」です。
アプリを起動してログインすると、バーチャル空間に存在するコワーキングスペースにアクセスできます。
同社が自分たちのリモートワークのために開発したものですが、企業やフリーランスにも提供するようになりました。
また、VRオフィスのサービスには、ヘッドセットや高性能なパソコンが必須のものも存在します。
しかし、Immersedならヘッドセットは必要ありませんし、一般的なノートパソコンでも利用できます。
6. 導入して仕事の効率やクオリティを上げよう!
VRオフィスはメリットが多く、働き方改革や感染症対策を推進する有効な手段となっています。筆者も魅力を感じる機能があるので仕事に取り入れていきたいです。
起業家をはじめとして、ビジネスの効率やクオリティを上げていきたい人は積極的に利用を検討すると良いでしょう。