BtoBビジネスにおけるマーケティングで活用されているツールのひとつが「ホワイトペーパー」です。
ホワイトペーパーは作り方や使い方さえ知っていれば、企業規模を問わず活用することができます。
ホワイトペーパーは情報量が多く、さまざまなチャネルで活用できるため、顧客の獲得や顧客との関係作りに効果的です。
この記事ではホワイトペーパーの役割や作り方、使い方について詳しく解説します。
1. ホワイトペーパーとは
1-1 ホワイトペーパーの意味
「ホワイトペーパー」とは、もともとは政府が発行する公式文書のことで、日本語では「白書」と表現されるものです。
それがビジネス用語として転じて、企業がターゲット顧客の課題に対するソリューションを伝えるための資料として作られるようになりました。
主にBtoBビジネスで活用され、情報量が多く、プレスリリースのようにさまざまなチャネルを通して顧客との接点を作ることができるのが特徴です。
データとしての配布が基本となっており、低コストで広い範囲に拡散することができます。
1-2 ホワイトペーパーの内容
ホワイトペーパーでは、市場環境や、課題ごとの導入事例、他社製品との比較などが紹介され、ターゲット顧客の課題解決に役立つ情報が盛り込まれるとともに、自社製品・サービスの訴求も行われます。
ホワイトペーパーは顧客の情報と引き換えにダウンロード・送付を可能とすることが多いです。
これによって、企業は営業のための顧客情報を取得し、その後の関係構築のためにも役立てることができます。
2. マーケティングでのホワイトペーパーの役割
マーケティングでのホワイトペーパーの大きな役割は
・「顧客との関係構築」
・「ソリューションの提案」
・「競合他社の排除」
があります。
ホワイトペーパーの最終的な目的は自社の製品やサービスを販売することです。
2-1 顧客との関係構築
ホワイトペーパーは、データとして企業ホームページやオウンドメディア、メールマガジンなどで紹介されて顧客との関係構築に役立てられます。
データであるため、低コストで多くの顧客に対して提供することが可能です。
また、直接的に購買に結びつかないとしても、企業や製品・サービスに興味を持ってもらい、中長期的に見込み顧客となってもらうこともできます。
2-2 ソリューションの提案
ホワイトペーパー内で、顧客の課題に合ったソリューションを詳細に紹介することができます。
課題解決の方法を紹介するだけでなく、課題の原因について深堀りしたり、さまざまな解決方法を提示したりすることで企業のノウハウや専門性をアピールすることも可能です。
2-3 競合他社の排除
ホワイトペーパー内で類似の製品・サービスを扱う競合他社との比較によって、その優位性をアピールすることもできます。
コストや性能、問題点などを専門家の視点から比較し紹介することで、自社に対する信頼感を高めることも可能です。
3. ホワイトペーパーと営業資料の違い
3-1 ホワイトペーパーの特徴
ホワイトペーパーは、顧客の課題解決に向けた情報を提供し、そのための方法として自社製品・サービスが有効であることを紹介します。
主に顧客側の目線で書かれ、課題解決をテーマに物語のようにストーリーが展開するのが特徴です。
ホワイトペーパーは営業の前段階として提供するソリューションに興味を抱かせ、次のアクションを促します。
3-2 営業資料の特徴
一方、営業資料は同じく自社製品・サービスの導入メリットを紹介するものですが、営業マンが効率的・効果的に説明することに主眼が置かれています。
そのため、製品やサービスのスペック(性能)や価格といった情報が中心です。営業資料は顧客側に意思決定を迫るための情報を主に提供します。
4. ホワイトペーパーの基本的な構成
ホワイトペーパーは、論文のように「5パラグラフの法則」を利用した構成で書かれていることが多いです。
この方法を用いると、
・「導入・要約」
・「問題提起」
・「解決策の提示」
・「製品・サービス情報」
・「結論」
といった構成になります。
このような順で記述することによって、解決に至るまでの流れをすっきりと伝え、自社の提供製品・サービスを魅力的に紹介することが可能です。
4-1 導入・要約
内容の一部や解決すべき課題を提示し、ホワイトペーパーを読むことによるメリットを訴求します。
流し読みをする人も多いため、この部分だけで概要がわかるようにまとめることも大切です。
4-2 問題提起
解決すべき課題について共感を得るとともに、問題解決のために問題を掘り下げたり、多角的に問題を分析したりして、課題が持つ真の問題を提起します。
4-3 解決策の提示
解決策の方向性を論理的に提示していき、実際の解決事例を具体的に紹介します。
問題が解決したという内容だけでなく、後日談を交えると成果をより魅力的に紹介することも可能です。
4-4 製品・サービス情報
解決策として実際に提供可能な製品・サービスを紹介します。
ただし、ホワイトペーパーで想定するターゲットによっては、営業要素が強いと印象が悪くなる場合があるため、省略または簡略化されることも多いです。
4-5 結論
最後に内容をまとめ、最適な課題解決方法として自社の製品・サービスをアピールします。
次のアクションを促すための会社情報や企業ホームページなどが巻末で紹介されることも多いです。
5. 魅力的なホワイトペーパーを作るためのポイント
ホワイトペーパーは紹介したい情報を網羅するだけではなく、読者に最後まで読んでもらうことが大切です。
たとえ最後まで読んでもらえたとしても、期待する行動につながらなければ意味がありません。
最後まで読まれ、期待する行動を促す魅力的なホワイトペーパーを作るためには、ポイントを意識して作ることが大切です。
5-1 タイトル
ホワイトペーパーではタイトルによって同じ内容でも反応率が大きく異なります。
これは、タイトルを通してリンクがつけられることが多く、表紙以上に目につく機会が多いためです。ターゲット顧客に共感され、読んでみたいと思わせるようなタイトルが求められます。
5-2 デザイン・レイアウト
表紙のデザインや文章・図表のレイアウトなど視覚に訴える部分は非常に重要です。
どれほど魅力的なコンテンツでも、読みにくいと思われれば途中で読むことを止めてしまう人も多くなります。
デザイナーと協力しながら、読みやすい資料を作ることも忘れてはいけません。
5-3 ストーリーテリング
文章を興味深く読んでもらうためのストーリーテリングの手法を活用することも大事なポイントです。ソリューションの提案側ではなく、顧客の目線で作られたストーリーは、課題への共感を促し、ソリューションを魅力的に見せる効果があります。
5-4 次のアクションへの動線の配置
読んだ後にすぐに顧客が行動に移れるよう、連絡先や製品サイトのURLなどを掲載しておくこともポイントです。
6. ホワイトペーパーはターゲットごとに作る
ホワイトペーパーの読者の目的はさまざまです。
たとえばIT系システムのホワイトペーパーであれば、業務上の問題解決のために読む人もいますし、業界のトレンドや最新事例を知りたいために読む人もいます。
製品選定を目的に読んでいる人も多いです。誰に向けてホワイトペーパーを作成するかで、記載する情報の内容やページ数も異なり、ホワイトペーパーへの反応も異なります。
そのため、ホワイトペーパーの作成にあたっては、ターゲット像を詳細にイメージし、営業において顧客がどの段階にいるかを考えながら、読む前後でどのような違いを作りたいかを考えながら作ることが大切です。
7. 見込み客獲得後のフローも作っておく
ホワイトペーパーを作る目的は読者に対して製品やサービスの購入を行ってもらうことにあります。
そのため、ホワイトペーパーを素晴らしく作ることができたとしても、そこで満足してはいけません。
見込み客を獲得したら、その後にどのように接触して購買につなげていくかを事前にしっかり考え、できるだけ早く動く必要があります。
たとえばホワイトペーパーのダウンロードから、24時間以内にメールで接触し、反応がない場合もメールマガジンやステップメールを配信してフォローするなど、営業フローを組み立てておくことが大切です。
8. ホワイトペーパーで効果的なマーケティングを実現しよう
ホワイトペーパーは低コストで多くの顧客にアプローチすることが可能な、企業のマーケティングにおける強力なツールです。
ホワイトペーパーを上手に活用して、顧客との関係構築や顧客ニーズの発掘にも役立てましょう。