近年では「リードナーチャリング」が企業の新たなマーケティング手法として定着しつつあります。コロナによって、時代の流れが変わったことも大きく影響しているといえるでしょう。
顧客獲得においても、従来のように対面での営業や定期訪問が難しい中で、時代に合った新たなマーケティング手法をタイミングを逃さず取り入れていくことは、企業の運営を考える上でとても重要です。
今回は、ナーチャリングの重要性と具体的な手法、メリットなどを詳しく解説しています。
新しいマーケティング手法を取り入れて、顧客獲得に力を入れたい企業の方はぜひご参考ください。
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1. リードナーチャリング(顧客育成)とは?
ナーチャリングとは、「顧客育成」を意味し、顧客が購入プロセスに進むまで、顧客との適切なマーケティングを用いて関係を育成することを指します。
さらには、一度購入をした顧客に対しても、リピーターとして継続購入してもらえるように育成したり、他の顧客に対して情報発信を行ってもらえるように育成をするといった意味合いも含まれます。
また、リードが「見込み顧客」を指すことから、リードナーチャリングは、「見込み顧客の育成」を意味し、見込み顧客に顧客として購入のプロセスへ進んでもらうための適切なマーケティングを行い育成していくことを指します。
2. リードナーチャリングの重要性
リードナーチャリングの重要性は、日々増していると思います。詳しくご紹介していきます。
2-1. 顧客の購入プロセスの変化
冒頭でもお話しした通り、コロナ禍で人々の動き方が変化しています。その中で、購入するまでのプロセスも大きく変化したといえます。
まずは、インターネットを活用して購入する機会が増えたことです。
直接訪問して商品を見る時と大きく異なるのは、インターネットで検索することで多くの商品やサービスを、一度にたくさん見て、比較することが出来るという点です。
これにより、今までは比較対象でなかった商品も比較対象となり、実際に手に取ることなく購入に進むためアプローチ方法を変えたりといった変化もあります。
もう一つは、直接訪問してアプローチする、といったプッシュ型の営業方法を取りにくくなったことです。
また、忙しい顧客が訪問のように時間を固定して空けておく必要がなく、自分のタイミングでチェック出来ることからWebやSNS、メールなどでもアプローチが好まれる傾向でもあります。
こういった点からリードナーチャリングが現代のマーケティング活動にマッチしているといえるでしょう。
2-2. 適切なタイミングでのアプローチ
定期的に訪問をしていたとしても、たまたま訪問していなかったタイミングでニーズが発生していたなど、なかなかリアルタイムにニーズをキャッチできないこともあるでしょう。
リードナーチャリングの手法を活用すると、顧客のそれぞれのフェーズにあったアプローチ方法を使い分けてマーケティングを行うことができるので、適切なタイミングを逃さないという点も良さだといえるでしょう。
2-3. 長期的なアプローチ
長期的なアプローチも、より重要性が高まってきています。
以前よりも顧客が目にする情報量が増えて、一度アプローチしただけでは、埋もれてしまい忘れられてしまう可能性がある為です。
検討フェーズに入っていない顧客に対しても定期的に、かつ面倒に思われない適切な距離を保った長期的なアプローチを行う必要があります。
2-4.休眠案件、失注案件へのアプローチ
リードナーチャリングは、一度取引を行ったものの継続出来ていない休眠案件や失注案件などにも活用することが可能です。
一度でも取引を行っていることで、契約などの事務処理がスムーズであることや、コミュニケーションも円滑にとりやすいといったメリットが顧客にとってもあるので、アプローチしない手はありません。
リードナーチャリングを上手く活用することによって、次にニーズが発生したタイミングをキャッチして、アプローチにつなげることができるので、有効なマーケティング手法といえます。
3. リードナーチャリングの手法
リードナーチャリングの重要性が理解できたところで、実際のリードナーチャリングの手法をご紹介したいと思います。一つずつ見ていきましょう。
3-1. SNS運用
現在はSNSからの情報収集を行うことも少なくありません。サイトでは伝えきれない自社の良さや商品の良さを伝えることで、自社への好感をもってもらうことも出来ます。
また、相互コミュニケーションも気軽に取れるツールであることも特徴です。商品紹介の投稿で、顧客も気軽に質問したり、感想を聞くことができるので、良い意見を集めることが出来れば自然と商品のイメージアップにも繋がります。
SNS運用を行い、日頃から情報発信やコミュニケーションを取っていることで、ニーズが顕在化した時に選択肢として検討してもらうことが出来ます。
3-2. メール配信(メルマガ・ステップメール)
メールは相手のタイミングで確認出来る点が大きな特徴です。
また、今ニーズがない顧客に対しても定期的にメール配信を行うことによって、社名や自社のサービスを覚えておいてもらうことが出来ます。
また、メール配信は顧客分析を行うことも可能です。メールの開封率やメールの本文にあるリンクのクリック率から、顧客の自社に対する温度感を把握することが出来ます。
例えば、リンクをクリックしてサイトを実際に閲覧している顧客に対しては、電話でのアプローチを行うといった活用をすることも可能です。
そこで、メールや閲覧したサイトのページだけでは分からなかった点やその他の疑問点を解消することで、購入につなげることもできるでしょう。
このように、相手にとっても適切なタイミングで、自社にとっても効率の良いマーケティング活動が行うことが出来ます。
3-3. セミナーの実施
セミナーを実施すると、一度に複数の顧客に対してアプローチが出来ることと、比較・検討をしている受注確度の高い顧客を集められることが良さと言えるでしょう。
最近ではオンラインセミナーも多くなってきています。
これにより、会場の確保や費用を抑えて、Zoomなどのツールを使って、多くの顧客に商品やサービスも含んだ詳細な情報発信が出来ます。
3-4. ホワイトペーパーの活用
ホワイトペーパーとは、例えば、「SNSのBtoB活用事例」や「Instagram運用のお役立ち資料」など顧客の課題解決になりそうな有益な情報をまとめたWeb資料を指します。ホワイトペーパーの種類は、トレンドやお役立ち資料、商品やサービスに関する資料など様々です。
サービスに関連する情報をホワイトペーパーとしてダウンロードできるようにしておいて、ダウンロードの際に企業名や担当者名、メールアドレスなどを入力してもらうようにしておけば、後でこちらからメールや電話などでアプローチすることも可能です。
3-5. Web行動履歴のトラッキング
Web行動履歴のトラッキングは、ユーザーがどのページを閲覧していたのか、どれくらいの間ページを閲覧していたのか、どのページをよく閲覧されているのかといった顧客の行動分析を行うことができます。
これにより、商品やサービスの中で、顧客が一番ニーズとして高そうなものを選択してアプローチ出来たり、興味があった商品と似た商品などが出た時にアプローチを行うなど相手に合ったアプローチ内容にカスタマイズすることが可能になります。
3-6. オウンドメディア
オウンドメディアは、ホームページとは別にブログなどで情報発信を行うサイトなどを指します。オウンドメディアなどはSEO対策などをしっかりと出来れば、Web広告のようにコストをかけなくても検索結果に表示することが出来ます。
また、ブログのURLをSNSの投稿文に貼り付けて発信することで拡散を狙うことが出来たり、幅広い活用方法があることも特徴です。オウンドメディアの知名度が上がると、自社のブランディングとしても活用することが出来るので、リードナーチャリングとしても有効だといえるでしょう。
4. リードナーチャリングのメリット
続いて、リードナーチャリングのメリットをご紹介したいと思います。
4-1. 顧客データの有効活用
セミナーやメール配信などを行って、貯めた顧客データは次のアプローチや商品企画などを行う場面で、データ分析することで有効に活用することが出来ます。
顧客がどういったことに興味を持っているのか、今のアプローチ方法で課題はどこにあるのかといったトレンドや自社の強み、課題を分析することで、より良い商品開発やマーケティングに活用することが出来ます。
4-2. 資産の有効活用
休眠案件や失注案件などからターゲットとなる見込み顧客を検討するといった使い方も資産の有効活用と言えます。また、ブログなどのオウンドメディアを運営している場合には、ブログをそのままにせずに見込み顧客に向けて、メール配信やSNS運用などで活用していくことで、資産の有効活用にもつながります。
このように今持っている資産をリードナーチャリングの手法を用いて上手く活用することで、作業負荷を下げて顧客獲得に向けて動くことができます。
4-3. 直接的アプローチにかかる時間の短縮
担当営業が顧客の状況を一つ一つ把握して、それぞれにアプローチするのはとても時間と手間がかかる作業です。
見込み顧客や購入意欲がそれほど高くない顧客、ニーズが顕在化していない顧客へのアプローチを分けて、直接アプローチを行う購入への意欲が高い顧客を厳選して営業活動を行うことで、営業担当の負荷を下げて、効率的な営業を行い、結果的に時間短縮に繋がります。
4-4. アプローチ方法の仕組み化
アプローチが長期化していることから、先ほど述べた見込み顧客や購入意欲がそれほど高くない顧客、ニーズが顕在化していない顧客への定期的なアプローチも重要です。
こちらは営業担当が直接アプローチするのではなく、メール配信やSNS運用など多くの顧客に一括でアプローチ出来る方法を選択することで、仕組み化することが出来ます。
また、出来るだけ自働化して、担当者の作業負荷を下げることで全体のコストや時間の削減にも繋がります。
5. リードナーチャリングに活用できる分析手法
続いて、リードナーチャリングの成功の鍵となる顧客分析手法を、2つご紹介したいと思います。
5-1. RFM分析
RFM分析は、Recency(購入日)、Frequency(頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標で、顧客を分類する分析手法です。
この分析手法により、新規顧客、休眠顧客、優良顧客など顧客を分類することで、優良顧客に対して優待特典のキャンペーンを実施したり、新規顧客に向けた特別セールを実施するなど施策検討に役立てることができます。
5-2. CPM分析
CPM分析は、Costomer Portfolio Managementの略で、顧客を10グループに分類してそれぞれに合ったマーケティング施策を検討する分析手法です。
購買行動、経過日数、頻度の3つの指標に分けて分類を行います。先ほどと同様、顧客の分類に合わせて施策を実施出来るので、高い効果が期待できます。
6. リードナーチャリングにオススメのツール
最後に、おすすめのツールをご紹介したいと思います。
6-1. MAツール
MAツールは、Marketing Automationの略で、メール配信などの作業を自動化することが出来たり、顧客を購入意欲をスコアリングして簡単に抽出などが行えるマーケティングツールです。このツールを活用することで、作業時間を短縮できたり、コストの削減も可能になります。
6-2. CRMツール
CRMツールは、Customer Relationship Managementの略で、顧客管理ツールとも呼ばれています。CRMツールでもメール配信ができたり、セミナーに興味がありそうな顧客といった特定の条件で顧客データを抽出出来るといった機能があります。また、対応履歴も管理できるので、顧客情報の属人化を防いで社内で共有しやすい環境を整えるのにも役立ちます。
7. まとめ
リードナーチャリングは、現代の生活スタイルに合った、顧客にも企業にもメリットのあるマーケティング手法だと思います。上手く活用して、新規顧客の獲得やリピーターの獲得などに是非お役立てください。