「Web施策でなかなか成果が出ない。改めてじっくりとWebマーケティングの学習をしたい」
「Webマーケティングの基礎をざっくりと勉強したい。良い本ないかな?」
上記のように悩んでいる人におすすめの『沈黙のWebマーケティング』という本があります。
Webマーケティングの入門書として評判の良い『沈黙のWebマーケティング』ですが、書籍としてはやや高額なため、「本当にためになるのかな?」と不安を感じている人も多いはず。
そこでこの記事では、実際に『沈黙のWebマーケティング』を読んだ著者が、本書の書評と感想を紹介していきます。
『沈黙のWebマーケティング』を購入すべきか迷っている人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
1.『沈黙のWebマーケティング』はどんな本?
出典:amazon
『沈黙のWebマーケティング』は、Webマーケティングの基礎的な考え方を解説している書籍。
漫画を用いて、ストーリー形式で解説されているため、マーケティング初心者でも理解しやすい本に仕上がっています。
また、漫画のパートは、Web上でも無料で読めます。
書籍では漫画に加えて、各章の最後に文章による詳しい補足解説が載っています。
「じゃあわざわざ本を買う必要はないんじゃ……」と思った人もいるかもしれませんが、個人的には絶対に書籍を購入するべきだと思いました。
なぜなら、漫画でざっくりと把握した知識を、補足解説で深掘りできるから。漫画の知識だとまだ使えないレベルですが、解説の知識は「即実践可能」なレベルになっています。
1-1. 『沈黙のWebマーケティング』の基礎情報
書籍名 | 沈黙のWebマーケティング-Webマーケッター ボーンの逆襲- アップデート・エディション |
著者 | 松尾茂起(株式会社ウェブライダー) |
出版年月 | 2020年10月1日 |
発行 | 株式会社エヌディエヌコーポレーション |
著者の松尾茂起さんが所属する『株式会社ウェブライダー』は、Webマーケティング支援を専門とする企業です。
『沈黙のWebライティング』は、実際にWeb業界で活躍するプロフェッショナル集団によって作成されているので、その品質には安心です。
また、現在発売されているのは、第一版のアップデートバージョン。Web業界はトレンドの移り変わりが激しいため、変化に合わせて本書もバージョンアップされています。
1-2. 『沈黙のWebマーケティング』の内容
『沈黙のWebマーケティング』の目次は以下の通り。
EPISODE 01 夜明けのSEOペナルティ解除
EPISODE 02 偽りと本質のWebデザイン
EPISODE 03 Webライティングは二度輝く
EPISODE 04 逆襲のSWOT分析
EPISODE 05 コンテンツSEOの誘惑
EPISODE 06 コンテンツマーケティング攻防戦
EPISODE 07 真実のソーシャルメディア運用
EPISODE 08 G戦場のレンタルサーバー
EPISODE 09 さらばボーン!沈黙の彼方に!
EPILOGUE 炎の中の真実
目次を見て分かる通り、Webマーケティングがさまざまな観点から解説されています。
Webマーケティングと聞くと「広告運用」や「SEO」を思い浮かべる人も多いですが、それらはあくまでWeb施策の一形態でしかありません。
本書は、広告運用やSEO、デザインなどの施策が、マーケティング全体の中でどのように位置付けられているかを、詳しく解説しています。
2. 『沈黙のWebマーケティング』の要約
実際に『沈黙のWebマーケティング』を読んだ著者が、本書の中で心に残った部分の要約しました。
要約はあくまで本質の部分であり、Webマーケティングを背景知識を含めて体系的に学ぶためには、実際に本書に目を通す必要があります。要約が本書の内容の全てではありませんので、ご注意ください。
今回紹介する本書の要点は、以下の5つ。
- Webコンテンツはユーザーファースト
- Webデザインの本質は”言葉”
- 弱点を強みに変換する
- コミュニケーションを生み出すコンテンツを意識
- 露出起点としてのSNS運用
順番に見ていきましょう。
2-1. Webコンテンツはユーザーファースト
Googleで何かを検索すると、星の数ほどの検索結果が表示されますよね。
検索結果のコンテンツは、ユーザーにとって有益度の高い順に表示されています。そして、この有益度を判定しているのが、Googleのロボット、通称『クローラー』です。
Googleの発表する品質のガイドラインには、以下のような文があります。
「検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する。」
「ユーザーをだますようなことをしない。」
要するにGoogleは、ユーザーにとって利便性が高く、有益なコンテンツをなるべく上位に表示したいと考えているということです。
1. 悪質なコンテンツは厳しく排除される
かつて、コンテンツを検索上位に表示させる、いわゆる「SEO対策」には数多くの抜け穴がありました。
たとえば、スパムサイトを作ってコンテンツのリンクを不自然に貼りまくったり、外部リンクをお金で買ったりするなど、ユーザーにとって無益なやり方でSEO上位をとることができたのです。
しかし近年は、Googleが悪質なサイト・コンテンツの取り締まりを強化。かなり厳しい基準でコンテンツが精査されるようになり、SEOの抜け穴は限りなく少なくなりました。
Googleの取り締まりにより、現代のSEO対策のカギは「ユーザーファーストなコンテンツ作成」となりました。
2-2. Webデザインの本質は”言葉”
EPISODE2の中に、「Webデザインの本質は”言葉”」という印象的なフレーズが出てきます。
このフレーズは、「Webデザインは、ユーザーが本当に知りたい情報をわかりやすく設計する作業」という意味です。
いくらオシャレなWebサイトでも、本当に知りたい情報が載っていなかったら、お客さんは不安になってしまいますよね。
特に、ネットで高額な商品を購入したい場合、その商品や企業が本当に信頼できるものなのか、ユーザーは慎重な姿勢になるでしょう。そんな場合に、ネット上に企業や製品についての情報が全く載っていなかったら、ユーザーが顧客になってくれる可能性は限りなく低いです。
EPISODE2は、多くのWebデザイナーにとって耳の痛い内容になっています。この要約にドキッとした人は、ぜひ『沈黙のWebマーケティング』を手にとってみてください。
2-3. 弱点を強みに変換する
EPISODE4には、マーケティングの戦略立案の際に用いられる「SWOT分析」という思考法が紹介されています。
- Strength(強み)……企業・サービスが持つ強み
- Weakness(弱み)……企業・サービスが持つ弱み
- Opportunity(機会)……企業の外部にあるチャンス
- Threat(脅威)……企業の外部にある危険
企業についての現状を、以上の4観点から分析するのがSWOT分析。そして、4つのうち2点の「弱み」をひっくり返して、「強み」としてしまうのが、本書で紹介されている手法です。
弱みを強みに転換するという思考法は、マーケティングにとって非常に重要。なぜなら、弱点によって競合と差別化を図れるケースもあるからです。
弱みを強みにする例として、人間の性格を考えてみましょう。
- 「飽きっぽい」→「好奇心旺盛」
- 「集団行動が苦手」→「1人で黙々と作業するのが得意」
- 「リーダーシップが低い」→「グループの調整役・緩衝役に向いている」
このように、強みと弱みは表裏一体。Webマーケティングでは、一見弱みに見える状況に、逆の角度から光を当てる姿勢が大切です。
2-4. コミュニケーションを生み出すコンテンツを意識
ユーザーの興味を掻き立て、思わずシェアしたくなるコンテンツ作りのヒントが多数紹介されています。
その中でも、「コミュニケーションのきっかけとなるコンテンツを意識」という考え方は、コンテンツ拡散の本質を突いた鋭い思考法だと感じました。
みなさんは、どのような理由で記事をSNSにシェアするでしょうか?
- 他の人にもこの情報を知ってもらいたい
- この記事の内容について、みんなの意見を聞きたい
- 有益な情報を広めて、承認欲求を満たしたい
どんな理由であれ、その裏には「誰かとコミュニケーションを取りたい」という欲求が隠れているのに気づくでしょうか。
要するに、有益なコンテンツとは、コミュニケーションを自然と誘発するようなものだということです。
2-5. 露出起点としてのSNS運用
マーケティングの1つとして、SNS運用があります。
本書では、SNSを「露出起点」として利用しています。
というのも、どんなに有益なコンテンツを作成しても、誰にも読まれなければ意味がありませんよね。
そこで、コンテンツを知ってもらう経路として、SNSを活用しようというのが、『沈黙のWebマーケティング』の主張です。
目的に応じてSNSを使い分ける
現在は、さまざまな種類のSNSがリリースされています。それぞれのSNSには固有の特徴があるので、利用目的に応じて使用するものを使い分けるのがベストです。
- Twitter……拡散性に優れている・リアルタイムな情報に強い
- Instagram……若者の利用率が高い・世界観の構築
- Facebook……信頼度が高い・繋がりが強い
3. 『沈黙のWebマーケティング』がおすすめな人
『沈黙のWebマーケティング』は、Webに関わる全ての人におすすめしたい内容になっています。
具体的には、以下のような人にとって必読の書籍だといえます。
- これからwebマーケティングを学びたい人
- システムの動き方にこだわりがあるエンジニア
- オシャレさを重視するWebデザイナー
- どんなコンテンツを作ればいいかわからないライター
1つずつ、詳しく解説していきます。
3-1. これからWebマーケティングを学びたい人
「これからWebマーケティングを学びたいけど、何から手をつけていいかわからない……」という人には、『沈黙のWebマーケティング』がピッタリです。
というのも、本書は漫画を使ったストーリー形式を採用しており、専門知識のない人でもスラスラ読めるからです。
- Web系の部署に配属が決まった人
- 仕事の幅を増やしたいWeb系フリーランス
上記のような人は、ぜひ『沈黙のWebマーケティング』を一読してみてください。
3-2. システムの動き方にこだわりがあるエンジニア
プログラムの動き方や美しさにこだわりのあるエンジニアは、『沈黙のWebマーケティング』を読んで、マーケティング的な思考法を習得するのがおすすめ。
Webマーケティングにおいて大切なのは、コードの質よりも「修正のしやすさ」。なぜなら、WebマーケティングではPDCAを高速で回して施策をブラッシュアップするので、必要に応じてすぐに修正できることが大切だからです。
たとえば、サイト内のテキストを変更したいのに、「コードが崩れるので修正できない」となったら、Webマーケティングの施策は何も実行できません。
Webマーケティング思考を持ったエンジニアの市場価値は非常に高いです。エンジニアの人も、ぜひ本書を読んでみてください。
3-3. オシャレさを重視するWebデザイナー
サイトの雰囲気やオシャレさを第一に考えるWebデザイナーの人は、本書を読めば考え方が一変するはずです。
オシャレさを大切にするのは「アーティスト」であり、デザイナーではありません。ユーザーのニーズを満たすようにコンテンツを設計するのがデザイナーの役割です。
3-4. どんなコンテンツを作ればいいかわからないライター
どんなコンテンツが読者に刺さるのか悩んでいるSEOライターにとっても、『沈黙のWebライティング』は一読の価値があります。
本書には、読者の興味関心を掻き立て、多くの人に読まれるコンテンツ作りのヒントが豊富に掲載されています。
4. 『沈黙のWebマーケティング』の次に読んでほしい本
『沈黙のWebマーケティング』は、Webマーケティングの基本的な考え方を身につけられる良書ですが、これ1冊で実務レベルにまでなるのは難しいです。
そこでここから、『沈黙のWebライティング』の次に読むべき本を3冊紹介します。
- 沈黙のWebライティング
- シュガーマンのマーケティング30の法則
- Webマーケティングの正解
4-1. 『沈黙のWebライティング』
『沈黙のWebライティング』は、Webマーケッター・ボーンシリーズの第二弾。Webマーケティングの中でも、SEOライティングにテーマを絞って詳しく解説しています。
沈黙のWebマーケティングのストーリーと繋がりがあるため、こちらも楽しく気軽に読むことができるでしょう。
4-2. 『シュガーマンのマーケティング30の法則』
『シュガーマンのマーケティング30の法則』は、アメリカのダイレクトマーケティング界の巨匠・シュガーマンにより執筆された、15年以上に渡りロングセラーを記録している書籍です。
この本はWebマーケティングについてではなく、より広義の意味の「マーケティング」を取り扱っています。特にものの売り方については、かなり濃いエッセンスが網羅されているため、ビジネスに関わる全ての人におすすめの内容です。
4-3. 『Webマーケティングの正解』
Webマーケティングについて網羅的に解説されている『Webマーケティングの正解』。
本書は、『沈黙のWebマーケティング』を、より実践に近づけたような内容になっています。サイト設計や広告運用についても具体的に触れられているため、2冊目にピッタリだと言えるでしょう。
5. まとめ
ここまで、『沈黙のWebマーケティング』の要点やおすすめの人などについて紹介してきました。
繰り返しになりますが、『沈黙のWebマーケティング』は、Web系の仕事をしている全ての人におすすめの書籍です。
この記事を読んで、本書のことが気になった人は、ぜひ購入を検討してみてください。