「Web広告運用の始め方が分からない」
「Web広告運用でどのように成果を上げていけばよいか分からない」
上記のように、Web広告運用に関して疑問や悩みを持つ企業担当者も少なくはないでしょう。
Web広告運用を始めるには、自社の強みやオリジナリティを把握しユーザーに届きやすい広告を作りましょう。また、成果を出すには、PDCAサイクルを回し改善活動を続けていくことが重要です。
本記事では、Web広告運用の概要や広告の種類、始め方や運用ステップ、効果を測るための指標について解説します。
1. Web広告の運用とは?
Web広告運用とは、インターネット上に掲載している広告の管理・改善を行い、集客や売上に繋がるように、広告の精度を上げていく仕事です。
みなさんにも、SNSやYouTubeを閲覧中に広告が流れてきた経験があるはずです。あのような広告を管理・運用するのが広告運用担当者の仕事です。
Web広告運用担当者の業務は、広告を出稿する媒体や掲載期間などを決める企画段階から、広告のクリック率や自社サイトを訪れた人の動きの分析、集客につながる施策の検討・実行まで、多岐にわたります。
近年、Web広告による集客に力を入れる企業も増えており、今後もますますWeb上で広告運用の必要性が上がっていくでしょう。
実際に、株式会社電通が公表した「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」では、2021年のインターネット広告費の市場規模は2兆7,052億円(前年比121.4%)に上り2022年以降も拡大していくことが予想されています。
2. Web広告運用の仕事内容を紹介
Web広告運用をするにあたり「そもそもWeb広告とは何を指しているのか?」「どのような流れで業務を進めていくのか?」分からないという方も多いのではないでしょうか。
以下では、実際に運用する広告の種類と、Web広告運用業務の流れを紹介します。
2-1. 運用する広告の種類
運用するWeb広告は、主に7種類あります。
7種類の広告の特徴を表でまとめたので、自社にどのような広告があっているか比較してみてください。
- リスティング広告…ユーザーが検索したキーワードに合わせて、検索画面に表示される広告のこと。「検索連動型広告」とも呼ばれ、低コストで始められる。
- ディスプレイ広告…Webサイトやアプリ、ブログなどの広告枠に表示される広告のこと。テキストに画像や動画を合わせたバナーで表示されることが多い。ユーザーの視覚に訴えられる。
- SNS広告…TwitterやFacebook、TikTok、InstagramなどSNSに掲載する広告のこと。自社アカウントのフォロワー数を増やしたり、広告が拡散される可能性がある。
- 動画広告…動画+音声を使った広告のこと。YouTube広告が代表例で、ユーザーの視覚だけではなく聴覚に訴えられるのが特徴。
- ネイティブ広告…ユーザーに広告らしさを感じさせず、メディアの記事やコンテンツに溶け込ませて表示させる広告のこと。ユーザーにクリックしてもらえる可能性が高い。
- メール広告…メールで配信する広告のこと。メルマガに広告を貼り付けるものと、広告をメールで配信するものなどがある。手間がかからないのがメリット。
- アフィリエイト広告…アフィリエイターと呼ばれる媒体主のブログやWebサイト、SNSアカウントなどに広告を掲載してもらうこと。成果報酬型が一般的のため、費用対効果が高い。
2-2. Web広告運用はPDCAサイクルが基本
Web広告を管理・運用しながら成果を上げていくには、PDCAサイクル+レポーティングの5つのステップを繰り返していくことが重要です。
PDCAサイクルとは、継続的に業務を改善していくために用いられる手法のことで、Web業界はもちろん幅広い業界で実践されています。
以下では、それぞれのフェーズでどのような取り組みを行うのか詳しく解説します。
1. Plan(計画)
まず、Web広告運用を行うためのプランを設定します。
- Web広告のターゲット層を定める
- Web広告運用の目標値を定める
商品やサービスに興味のあるターゲット層に絞ったWeb広告を運用できれば、効率的に成果に繋げられるでしょう。
目標値は、Web広告運用を行う目的によって変わります。
認知度を上げたい場合は「広告の表示回数を増やす」、商品を知ってほしい場合は「クリック数を増やす」、売上を増やしたい場合は「商品購入や問い合わせ数を増やす」など、目的に合った目標値を定めましょう。
2. Do(実行)
Web広告運用のプランが決まれば、Web広告の種類と予算を決め、広告作成・出稿作業に入ります。
Web広告は種類によって特徴が異なるため、テキストや、音声、写真、映像などを上手く活用しユーザーの目に留まりやすい広告の作成が重要です。また、Web広告の作成はデザイナーに依頼するケースもあります。
完成したWeb広告は、出稿する広告プラットフォームの管理画面上から入稿作業を行います。
3. Check(確認、分析)
Web広告の掲載を行い、どの程度成果を得られたか確認・分析を行います。
Plan(計画)で定めた目標を達成できた場合でも、目標を達成できなかった場合でも、その要因を分析します。
多くの場合、Web広告が最初から爆発的な成果を上げられることはありません。広告を実際に出して得られたデータを元に改善を繰り返し、答えを探していくのが基本です。
分析ではアクセス解析ツールである「Google Analytics」や「Googleタグマネージャー」などを用いて、アクセスの経路やWebサイトの滞在時間などを確認します。
4. Action(改善)
Check(確認、分析)で分析した結果を元に、改善を行います。Web広告運用において、主に改善を行う要素は3つあります。
- Web広告の配信方法
- Web広告のデザインや内容
- 商品やサービスページの改良
Web広告をより多くの人に見てもらうためには、Web広告を掲載する場所や時間など、そもそもの配信方法の改善が必要です。
次に、クリック数を増やすためには、Web広告のテキストやデザインなど、クリエイティブを改善する必要があります。ユーザーの目を引くイメージに変えるだけでも、大きく効果を得られる場合があります。
商品やサービスの購入や問い合わせ数を増やすためには、ランディングページの改善を行いましょう。ランディングページのユーザーの動きを分析して、購入や問い合わせに繋げられるように、テキストやデザインの変更を行います。
5. レポーティング
一通りPDCAを行ったあと、成果や分析内容をまとめるためにレポーティングを行います。レポーティングを行う目的は2つあります。
- Web広告運用の結果を第三者に報告するため
- 新たな課題を見つけるため
Web広告運用の結果を社内や社外に報告するためには、報告する先の人に分かるようなレポートの作成が重要です。レポートの作成には「目標に対する結果」「取り組み内容」「結果から見えた課題」「今後の取り組み内容」を盛り込みましょう。
レポートを作成すると、取り組み内容を俯瞰的に見られるため、日次業務では気づくことが難しい新たな課題の発見に繋がる可能性があります。週次や月次など、定期的にレポートを作成しましょう。
3. Web広告運用の始め方
実際に、Web広告運用を始めるには4つの準備が必要です。準備段階を丁寧に行うことで、効果に繋げやすくなります。
- 商品・サービスの顧客や市場をリサーチする
- Web広告のPR方針を決める
- 広告にかける予算を決める
- Web広告の種類を選定し配信する
以下では、Web広告運用を始めるためのステップを一つずつ解説します。
3-1. 商品・サービスの顧客や市場をリサーチする
まず、商品・サービスの顧客や市場を理解し、自社商品・サービスの強みやオリジナリティを把握しましょう。
商品やサービスによって顧客の年齢層や性別、地域はさまざまです。顧客に直接アンケートを取ったり、ECサイト内の動向を分析したりしながら「なぜ魅力を感じてくれているのか?」といった顧客の心理を調べることで自社の強みが把握できます。
市場リサーチでは、競合他社がすでに実施しているPR方法やまだ実施していないPR方法を調べ、自社が取り組む施策を検討します。競合他社が出稿していないメディアへの出稿や、差別化するためのコンテンツ作成をすれば、広告のオリジナリティを高めることに繋がるでしょう。
またWeb広告を集客の起点にするなら、常に業界の最新情報を集め、知識をアップデートしていく努力が必要です。特にITの世界は流行の変化が激しいので、昨日まで通用していたルールが翌日には変わっていることもあります。
常に鮮度の高い情報にアンテナを立て、自社事業に活かせないか考える癖をつけましょう。
3-2. Web広告のPR方針を決める
顧客や市場のリサーチに基づき、以下の項目を押さえてWeb広告のPR方針を決めましょう。
- Web広告を誰に見てもらいか
- 商品やサービスの魅力をどのようにPRするか
Web広告は表示させるユーザーを指定できます。そのため、商品やサービスのターゲット層を絞り、ピンポイントのユーザーに効率的に情報を届けることが可能です。
広告やランディングページには、商品やサービスが持つ強みやオリジナリティを反映させましょう。ユーザーに分かりやすい訴求ができれば、商品購入や資料請求などに繋げられます。
3-3. 広告にかける予算を決める
Web広告の方向性が定まったら、広告にかける予算を決めましょう。
Web広告の種類によって広告費は大きく異なります。中でもリスティング広告やSNS広告、アフィリエイト広告、メール広告は低コストで始められるWeb広告です。
広告費はPDCAサイクルを回す段階で、費用と広告効果を振り返り、定期的に見直しをするのもおすすめです。
3-4. Web広告の種類を選定し配信する
Web広告の方向性や予算が決まったら、Web広告の種類を選定します。
Web広告は数種類ありそれぞれ特性が異なります。そのためWeb広告の種類を決める際は、導入までの時間やコスト、運用の簡単さやコスト、成果の得られやすさなど多角的な方面からWeb広告を評価しましょう。
次に、広告の種類が決まったら、出稿する内容を決め配信します。
検索結果に表示されるリスティング広告であれば、検索されやすく競合と被りにくいキーワードを決める必要があります。
ディスプレイ広告の場合は、テキストに画像や動画を組み合わせられるためクリックされやすい広告を作ることが重要です。
このように、出稿するWeb広告の種類によって、キーワードの選定や見せ方などにこだわりましょう。
4. Web広告運用の効果を測る5つの指標
Web広告運用の効果を把握するためには、運用結果を数値で算出することが重要です。また、目標を決める際も数値を置いておくことで、結果の分析がしやすくなります。
Web広告運用の効果を測る指標は、主に5つあります。
- インプレッション数
- CTR(クリック率)
- CV数(コンバージョン数)
- CVR(コンバージョン率)
- CPA(顧客獲得単価)
それぞれの指標について、以下に解説します。
4-1. インプレッション数
インプレッション数とは、広告が表示された回数のことをいいます。
「広告の表示回数が多い=Web広告がユーザーの目に触れる機会が多い」ということです。
インプレッション数を改善するには、出稿作業時のターゲティング設定を適切に行う必要があります。ターゲティング設定とは、条件を指定し広告を表示させるユーザーを絞る設定です。
ターゲティング設定で、広告を表示させるユーザーの項目を多く指定しすぎていると、インプレッション回数が減る場合があります。
顧客層に沿った設定を行うことで、適切な訴求タイミングで広告を届けられます。
4-2. CTR(クリック率)
CTR(クリック率)とは、インプレッション数に対するクリック数の割合のことをいいます。
CTR=クリック数 ÷ インプレッション数 ×100で算出します。
CTRが高いと、ユーザーの関心が高いと解釈でき、CTR数は広告の質を確かめるための重要な指標の一つです。
クリック数を上げるためには、ユーザーに合った訴求内容や、季節やトレンドに合った表現に変更するなどが効果的です。
4-3. CV数(コンバージョン数)
CV数(コンバージョン数)とは、広告を通じてサイトを訪れたユーザーが、成果達成にあたる行動をとった数のことをいいます。
成果達成にあたる行動とは、商品購入や資料請求件数などが挙げられ、あらかじめ目標で定めておくとよいでしょう。
Web広告の運用を行う目的は、CV数(コンバージョン数)を上げ、利益拡大に繋げることです。
CV数(コンバージョン数)を管理する際は、次に説明するCVR(コンバージョン率)も算出しましょう。
4-4. CVR(コンバージョン率)
CVR(コンバージョン率)とは、Web広告のクリック数に対するCV数(コンバージョン数)の割合のことです。
CVR(コンバージョン率)=CV数(コンバージョン数)÷ クリック数 × 100で算出できます。
CVRが高ければ、Web広告と商品やサービス、ランディングページの内容がしっかりユーザーに訴求できていると解釈できます。
一方で、CVRが低い場合は広告内容と商品・サービスが一致していないことや、ランディングページの質が悪い可能性があるため、改善が必要です。
4-5. CPA(顧客獲得単価)
CPAとは、1件のCV(コンバージョン)獲得にかかった費用のことをいいます。
CPA=広告費用 ÷ CV数(コンバージョン数)で算出できます。
例えば、20万円の広告費用に対して200件のCVを獲得できた場合、1件あたりのCPAは1,000円です。
広告の費用対効果を高めるためには、CPAを抑えることが望ましいため、CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)を上げるなどの一連の施策が重要となります。
5. まとめ | Web広告をうまく利用して売上を高めよう
インターネット広告費の市場規模が年々拡大している中、企業においてWeb広告運用は重要なマーケティング施策の一つです。
Web広告運用で成果を上げるための重要なポイントは「PDCAサイクルを回し改善活動を続けること」です。
PDCAサイクルを効率良く回すためには、自社の商品やサービスの強み、オリジナリティを把握した上で、自社の広告戦略を定める必要があります。
掲載した広告に対しては、CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)を分析し、適切な改善をすることで、費用対効果を高められ利益の拡大に繋げられます。
Web広告の運用には、トライアンドエラーが付き物のため、継続した運用が必要であることを理解しておきましょう。