「顧客のデータをどのように管理すれば良いか?」
「顧客管理に最適なツールは何か?」
上記のように、企業の顧客のデータ管理方法に悩む企業担当者も少なくはないでしょう。
顧客のデータ量が多いほど、ツールを使った管理をおすすめします。ツールを導入することで、企業活動のブラッシュアップはもちろん、業務効率化など企業体制の構築も可能です。
本記事では、顧客データ管理の概要や必要性、データ管理の課題、ポイントを解説します。また、最適なツールや、ツールの選び方まで紹介しますので、参考にしてみてください。
1. 顧客データ管理とは?
顧客データ管理とは「顧客の情報を統合的にデータベースで管理すること」を指します。
顧客データ管理は、蓄積した顧客データからニーズや要望を読み取り、サービスや商品を改善、売上の拡大など、企業全体のブラッシュアップを目的として行われます。
BtoCの場合、年齢、性別、居住地、家族構成、職業などの顧客情報や、購入履歴、クレーム、SNSレビューなどが管理するデータの一例です。多くのデータを収集し分析できれば、どのような顧客がどのような商品を購入しているのか、いつ頃購入しているのかなど、顧客の行動パターンが分かります。
一方でBtoBの場合は、会社名、住所、代表者名、資本金、従業員数などの取引先情報や、訪問履歴、商談の内容、進捗状況、購買履歴などの営業活動履歴が管理するデータの一例です。企業のマーケティング活動に活かすことはもちろん、部門内でのスムーズな連携や業務効率化に繋げることが可能です。
日々蓄積される顧客データを正しく管理し分析することは、企業のブラッシュアップだけではなく顧客満足の追求にもつながり、多方面でメリットを得られる重要な企業活動の一つとなっています。
2. 顧客データ管理の必要性
顧客データ管理が必要とされる理由は2つあります。
- 顧客ニーズの多様化
- 生産性向上
以下では、2つの理由について詳しく紹介します。
2-1. 顧客ニーズの多様化
海外製品の低価格の商品を「良いもの」と捉える人や、口コミやSNSでの評判を見て「良いもの」と捉える人など、顧客が「良いもの」と判断する基準が多様化しています。
そのため企業は、多様化する顧客ニーズの分析を深掘りし、ターゲットに寄り添ったサービスや商品の開発・改善が必要です。
顧客(個人・取引先)情報や購入履歴、営業活動履歴などは、ニーズを分析するための一つの材料となります。顧客データを活用できれば、売上の拡大や顧客満足に繋がり、結果的に企業のブランドイメージアップが可能です。
2-2. 生産性向上
企業には、業界や業種問わず膨大なデータが存在しています。企業によっては、データを部署ごとや用途ごとに管理しており、社内で同じデータが散在している場合も少なくありません。
企業は、保有している膨大な顧客データを統合的に管理することで、社内でのスムーズな共有が可能となり業務効率化に繋がります。そのため、結果的に生産性を上げることが可能です。
また、統合的な管理は、常に最新の顧客データを利用でき、ミスやトラブルも起きにくくなります。
3. 顧客データ管理における課題
顧客データ管理を行う上で、企業が抱える課題を2つ紹介します。
- データ重複、分散
- コスト増大
以下で、それぞれ詳しく解説していきます。
3-1. データ重複、分散
顧客データを管理する部門は、営業・マーケティング・経理・カスタマーサポートなど幅広いです。しかし、各部門ごとに顧客データを管理していると社内でデータが重複したり、分散したりすることが考えられます。
データが重複すれば、多重入力で作業が非効率になったり、重複に気付けなければ同じ顧客に何度もアプローチをかけてしまったりする可能性があります。
また、データが分散していれば古いデータが残ってしまい、顧客の正確なデータが分からなくなってしまう場合があります。
データの重複・分散は、データの精査に時間がかかるだけではなく、ミスやトラブルの原因になりかねません。
貴重な顧客データを活用するには、データが重複・社内で分散しないように、統合的に管理しましょう。
3-2. コスト増大
顧客データ管理にツールを導入する際、導入費用だけでなく、社内の既存ツールと連携させるための開発費用が発生します。また、増え続けるデータの管理費用やサーバー代などのランニングコストも必要です。
そのため、顧客データ管理業務における企業のコストの増大は大きな課題となっています。
ただし、正しく顧客データを管理できれば、業務効率化に繋がり生産性も向上するため、かけたコストを利益として回収することも十分可能です。
4. 顧客データ管理のポイント
顧客データ管理は、ただデータを蓄積させれば良いという訳ではありません。貴重な顧客データを最大限に活用するための、管理のポイントを2つ紹介します。
- データの一元管理
- データ管理・運用部門を決める
以下で、それぞれポイントを詳しく解説していきます。
4-1. データの一元管理
管理する顧客データは、一つのデータベースにて一元管理しましょう。一元管理をすることで、データの重複や分散が防げます。
営業・マーケティング・経理・カスタマーサポートなど、顧客データを蓄積している部門が保有しているデータを突き合わせ、重複している部分は省くなどデータの整理をしましょう。
最終的なデータの形やレイアウトなどは、関連部署にてすり合わせが必要です。
4-2. データ管理・運用部門を決める
データを一元管理するために、管理・運用部門を決定しましょう。
データベースの更新や修正は管理・運用部門のみが担当するなど、社内のメンバーが常に正しく最新のデータを見られるような仕組み作りが重要です。
顧客データ管理を行う際は、管理方法はもちろん管理部門を決めることが必要となります。
5. 顧客データ管理に最適な 3つのツール
顧客データ管理に最適なツールは、以下の4つです。
- Excel・Googleスプレッドシート
- CRM(顧客管理システム)
- SFA(営業支援システム)
- MA(マーケティングオートメーション)
ここからは、それぞれのツールの特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
5-1. Excel・Googleスプレッドシート
ExcelやGoogleスプレッドシートは、普段の業務で使用している企業が多いことから、導入しやすいツールです。
導入の際データベースを作成する必要はありますが、表計算機能やマクロで自動化もでき機能面も優れています。
しかし、管理するデータ量が膨大になればなるほど、データが重くなり情報が見づらくなるため、小規模の企業に向いています。
1. メリット
ExcelやGoogleスプレッドシートを使った顧客管理には、以下のメリットがあります。
- 導入のコストがかからない
- 社員への教育が不要
- テンプレートがある
ExcelやGoogleスプレッドシートは、導入のコストが抑えられる点が最大のメリットです。また、操作に慣れている社員が多いため、教育にかかる手間やコストも抑えられます。
さらに、顧客管理に必要なテンプレートもネット上に広く公開されており、顧客管理の知識が無くても始めやすいツールです。
2. デメリット
一方で、ExcelやGoogleスプレッドシートを使った顧客管理のデメリットは以下の通りです。
- データが重複・分散する可能性がある
- VBAやマクロの知識が必要
- データ量が多くなると重くなり作業しにくくなる
- スマホやタブレットで使いづらい
ExcelやGoogleスプレッドシートは、ファイルをコピーして使えるためデータが重複・分散してしまうリスクがあることが大きなデメリットです。
また、マクロやVBAの知識が必要になり、データ管理担当者が限られる可能性があります。さらに管理するデータが多すぎると動作が遅くなり、処理できない場合もあります。
ExcelやGoogleスプレッドシートは、画面が小さいスマホやタブレットでは見づらいため外出中の使用は向いていません。
5-2. CRM(顧客管理システム)
CRM(顧客管理システム)は、Customer Relationship Managementの略で顧客管理に特化したシステムのことをいいます。
システム内で顧客データを一元管理することが可能です。データを分析するだけではなく、顧客へのメール配信機能、アンケート集計・分析機能、申し込みフォームの作成や配信など、さまざまな便利機能があります。
1. メリット
CRM(顧客管理システム)を使った顧客管理には、以下のメリットがあります。
- システム内に一元管理できる
- データ集計、分析など便利機能がある
- 担当者変更の際、スムーズな引き継ぎが可能
- スマホやタブレットからも閲覧できる
CRM(顧客管理システム)は、システム内に顧客データを一元管理できるため、データが重複したり分散したりするリスクを抑えられます。
また、データ集計、分析など便利機能を利用することで、業務工数の削減も可能です。
顧客データの全てがシステムで一元管理されているため、担当者変更の際でもスムーズに社内に引き継ぎ事項の共有ができます。
CRM(顧客管理システム)は、スマホやタブレットからも利用でき、外出中や商談中に簡単に顧客情報を確認できます。
2. デメリット
一方で、CRM(顧客管理システム)を使った顧客管理のデメリットは以下の通りです。
- 導入にコストや手間がかかる
- 導入による効果が分かるまでに時間がかかる
- 企業によっては費用対効果が得られない
CRM(顧客管理システム)は、導入の初期費用や運用費用など大きくコストが発生してしまいます。また、システム内に既存のデータをインプットする必要があり、運用までに手間がかかります。
また、システムを導入し、売上の拡大までに分析や商品開発・改善などの工程があり、効果を実感するまでに時間が必要です。企業の規模によっては、システム導入・運用費用の方がかさむケースもあるため、導入の際は費用対効果があるのかを見極めましょう。
5-3. SFA(営業支援システム)
SFA(営業支援システム)は、Sales Force Automationの略で企業の営業活動を支援するツールのことをいいます。
SFA(営業支援システム)では、顧客情報、案件情報、スケジュール、日報、タスクなど営業活動に必要なデータの管理が可能です。システムの導入で、営業活動の見える化や業務効率化に繋がります。
1. メリット
SFA(営業支援システム)を使った顧客管理には、以下のメリットがあります。
- 企業の営業力を強化できる
- 営業活動の最適化ができる
- ナレッジを共有できる
取引先の重要なキーパーソンや人脈、有益な情報は企業にとって貴重な資産となります。営業担当者が業務を通して得た情報をシステムにインプットさせることで、重要な資産が増え企業の営業力強化に繋がります。
また、商談情報や提案内容、訪問記録なども記録でき、後任の担当者や新入社員にナレッジの共有ができます。
SFA(営業支援システム)の導入で、営業業務の属人化の解消や、業務工数の軽減もでき、営業業務の最適化が可能です。
2. デメリット
一方で、SFA(営業支援システム)を使った顧客管理のデメリットは以下の通りです。
- 導入に手間やコストがかかる
- 使い方次第では効果を得づらい
SFA(営業支援システム)の導入には、導入・管理・運用など幅広いコストが発生します。また、運用するまでに必要な機能の選定や情報のインプット作業などの業務が発生するため、システムが稼働するまでに一定期間が必要です。
SFA(営業支援システム)は、営業活動を主に管理するシステムのため、顧客の情報量が少ない場合は、効率化や売上拡大などの効果を得づらい可能性があります。
6. 顧客データ管理ツールを選ぶ3つのポイント
実際に、ツールを使った顧客データ管理をする場合は、以下3つのポイントを押さえた上でツールを選びましょう。
- 使いやすさ
- コスト
- 機能性
以下で、ポイントを一つずつ詳しく紹介していきます。
6-1. 使いやすさ
多くの社員がツールを使うことが想定されるため、使いやすいツールの導入が重要です。
多くの社員が使用可能なExcelであれば、教育工数がかからずスムーズに導入できるかもしれません。しかしCRMやSFAは、多くの社員が初めて使うツールとなるため、安定的に運用できるまで時間がかかることが想定されます。
ただし、CRMやSFAを導入する場合でも、システムを提供する会社によっては見やすいレイアウトで使いやすいものもあり、導入の際は複数社のシステムを比較してみましょう。
6-2. コスト
ツールの導入にかけた手間やコストに対して、効果や機能が見合うかを検討しましょう。
特にCRMやSFAは、導入に手間やコストがかかります。売上の拡大や顧客満足の向上を目的とする顧客データ管理ですが、ツールのみにコストをかけすぎると利益を生み出せなくなってしまいます。
小規模の企業や顧客情報が少ない場合は、まずは、ExcelやGoogleスプレッドシートを使用したデータ管理がおすすめです。
6-3. 機能性
顧客データを管理する目的に見合った機能を揃えたツールを導入しましょう。
ツールごとの主な機能をまとめました。
ツール |
主な機能 |
Excel |
|
CRM |
|
SFA |
|
上記はあくまで一例ですが、企業の通常業務と照らし合わせながら、必要な機能と不要な機能を洗い出した上でツールを選択することをおすすめします。
7. まとめ
日々増え続ける膨大な顧客データ管理に重要なのは「一元管理」です。
顧客データを一元管理することで、データの重複や分散を防げることはもちろん、社員の業務が効率化し、生産性の向上に繋がります。
また、一元管理したデータを正しく分析し、企業のサービスや商品開発・改善に活かせれば、売上の拡大や顧客満足の向上を見込めます。
企業が抱える膨大な顧客データを管理するためには、ツールを使った管理がおすすめです。
ツール選びには「使いやすいか」「コストは見合っているか」「目的に合った機能がそろっているか」の3つのポイントを押さえ、企業に適したツールを導入しましょう。